乾の向井店シュート

FIFAワールドカップ2018 ロシア大会。日本の夏はベスト16で終わりました。

ほとんどの日本人のファンは、あの世界ランク3位のベルギーを追い詰めたことに満足で、選手と西野監督を称賛する声がほとんどかと思います。

実際に「このまま次の大会も西野監督で」という声も少なくありません。

もちろん2点先行するまでは大変に見事な戦いぶりでした。

柴崎からの絶妙なロングスルーパスに原口が反応。角度がそれほどない位置からの最高のシュート。さらに乾と香川のあうんの連携からの乾の無回転シュート。

このシュートは大会ここまでのベストゴールとも言われています。それくらい凄かった。

誰もが日本の勝利を疑わなかったことでしょう。

意識することで崩れていった~ホメオスタシスの働き

しかしここで日本が崩れ始めます。

長友が試合を振り返って話した通り、「2点取ってベスト8を意識したことで浮足立ち」メンタルが崩れていきました。

前回のブログで書いた通り、今回の共通目標はベスト16。さらに今までの最高成績もベスト16。ベスト8というコンフォートゾーンは日本チームにも西野監督にもありません。

だから勝ってはいけないため(?)、奇跡的に負ける方向へホメオスタシスが動き始めたと言ってもいいでしょう。

これはコーチングでよく起きる現象です。

ゴールの臨場感を高めると、現在との差を埋めるために、脳が天才性を発揮して、奇跡的に目標を達成し始めます。これの逆が今回の試合と重なります。

特に1点目はあり得ない入れられ方でした。

ロスタイム被弾もそうです。

誰もが延長だと思ったはずです。しかし日本はあり得ない逆転劇で負けることになります。どうやったら残り1分で悲劇的な負けを経験できるでしょうか?意識してもなかなかできない負け方です。

これは、全体のコンフォートゾーンから頭一つ出て、本来いるはずのないベスト8が見えて来てしまったため、急速に元に戻る、引き戻し作用により、あり得ない負けにつながったとしか解釈できません。

もちろん選手はよく頑張りました。責めるつもりは一切ありません。

しかし監督はじめ、選手全員がコーチング理論を学んでいたら、絶対に勝てた試合でした。

こういうコーチングの視点から見ると、後半は全く理解できず、「これで浮かれて喜んでいる日本の人たちは何なのか?」とさえ思います。さらに西野監督続投を叫んでいる人達も同じです。

日本チームが取るべきだった采配

前回指摘したように、もしポーランド戦の前半にベストメンバーで全力で臨んでいたら、おそらくポーランドに勝ち、その結果決勝トーナメントの反対側のブロックに入れました。

そうすれば、今の力からしてベスト4も十分にあり得ました。私は16強ではなく、その先を見ていたため、全力でポーランドを叩きにいくことを推奨していました。

第一の間違いは、このようにポーランド戦の采配です。

ところで、ベルギーと互角に戦ったことにより、日本に対する評価はとても高くなりました。と同時にゴールキーパーの川島と西野監督の評価は散々です。

日本では「ベルギー相手によくやった」というとても低い次元で喜んだため、西野監督に対する評価が高いのですが、後半は完全に采配ミスだったため、世界からは最低の評価を得たのです。

最大のミスは、柴崎を交代させたことです。

これで中盤の底からボールを散らせる選手がいなくなり、ベルギーも攻撃しやすくなったのです。

どうすればベルギーに勝てたのか?

私なら、2点取った時点(10分以内)で動きます。

得点は取ったとはいえ、勝つために原口と乾を下げ、ディフェンダー二人を投入します。当たりに強い槙野と他一人。

私なら川島はポーランド戦から既に変えています。

スーパーセーブもありましたが、他の選手でもできたでしょう。それよりも致命的なミスが多すぎました。今後(次の大会)も見据えて早めに若手を起用したことでしょう。

元々の4バックに、2人のディフェンダーを加え、ペナルティーエリアを6人で固めれば、残り時間を考えても2点は入れられません。

6人の前をボールをキープ、散らせることができる柴崎、そして長谷部(またはキープ力のある本田に交代)を配置し、大迫と香川を中盤と前に残す布陣を取れば、ほぼ確実に逃げ切れたことでしょう。

前回の<負けを認めた上で、他試合の結果に委ねる>、<逃げと他力本願のサッカー>とは違い、2点リードしてからの守りは正攻法ですので、非難の対象にはなりません。

メンタルを鍛える必要性

さらにベスト4以上を合言葉に、毎日瞑想やイメージトレーニングを全員で行い、徹底的に「ベスト8くらい当たり前」という自己イメージを構築できていれば、確実に勝利できたことでしょう。

私ならそれができた自信がありますので、どうしてもあの成績で喜ぶことはできないのです。おそらく選手達も手ごたえがあったため、どうして負けたのか分からない状態だと思います。

西野監督もそう。最後に行った言葉「何が足りないんでしょうね」が物語っています。

それは、「ゴール設定が甘かったために、勝ちきれなかった」のです。「勝ち切れる戦略とそれを実行できるメンバー交代の案が浮かばなかった。」のです。

それに尽きます。